これはわたしがブログを書き始めるよりも

少し前のお話


今から1年以上前になります





彼と初めて会った場所はオルフェアでした




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今では人が沢山いることは無いけれど

当時は鯖1や2に行けば、

どこの街にもそれなりに人がいた時代



「レベ上げ行きませんかー!」

「アクセ狩り行きませんかー!」



そんな白チャが常に飛び交っていました




わたしはその時

ドラクエを始めて間もなくて

やっとこの世界の流れに少し慣れて来たかな、

というくらい



何となく立っていたわたしの前に現れた

一人のプクリポ



「レベ上げいきませんか!」



彼の職業は盗賊だったと思います

僧侶を探しているようでした



「よろしくお願いします!」



僧侶のわたしは彼についていきました




彼の名前は「てくっち」




てくっちと、てくっちのフレンドと、

わたしと、あともう一人野良で募集して

レベル上げに行きました



対象は「どくやずきん」





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信じられないかもしれませんが

当時ノンパッシブのわたし達には

ちょうどよいモンスターでした



少しの時間4人でレベル上げをし、

お互いにフレンド登録し、

お礼を言って解散



それから少しづつ、

てくっちと仲良くなっていきました




一緒にレベル上げに出かけたり、

ストーリーやクエストを進めたり、

どうでもいい会話をして笑い合いながら

とても楽しい時間を過ごしました




会話の中で、

てくっちは自分が中学2年生であることを

教えてくれました


言葉の一つ一つが純粋で

いつも、何に対しても真っすぐで

ああ、なるほど、と思いました




ある日、てくっちと二人でレベル上げに

出かけた時です




道端にプレイヤーが倒れていました


モンスターに襲われて死んでしまったのでしょう

その名前は真っ赤に染まっています




当時は「お祈り」システムはなく、

死んでしまって5分経てば問答無用で

教会に送られる仕様でした




今では小額ならわりと簡単にお金を貯められますが

当時は10Gでもそれなりに価値があった時代

「街の宿より10G安い」というのが理由で

木かげの集落の石を持っている人もいたぐらいです




死んでしまったプレイヤーが

いくら持っているのかはわかりませんが

教会へ送られればお金を失います




早く助けたいですが

その時わたしとてくっちはザオ職ではなく、

その場所は街から離れており、

もちろんドルボードも無い時代ですので

一旦街まで戻って転職してまた戻ると

間に合わないかもしれない




どうしよう、どうしよう、

てくっちと二人で慌てているその時




また別のプレイヤーが通りかかりました

僧侶か旅芸人だったと思います



その方は死んでしまったプレイヤーに

さっと辻ザオをし、何も言わずに走り去りました




ザオを受けたプレイヤーに

お礼を言う隙も与えない程の

一瞬の出来事




ヒーローみたい。

かっこいいなあと思って

走り去る後ろ姿を眺めました




気がつくと、てくっちは走り出していました




辻ザオをしてくれたプレイヤーを追いかけるてくっち



慌てて  てくっちの後を追うわたし



どんどん走る3人



しばらく走り続け、

ついにはてくっちが辻ザオプレイヤーをとらえ、

小ビンを投げました



そして  てくっちは言ったのです



「ありがとう!」



死んでいたプレイヤーも、

辻ザオをしてくれたプレイヤーも

知らない人です



自分とは関係ないプレイヤーの為の

「ありがとう」をてくっちは言いました



そして魔法の小びん

今でこそがぶ飲み当たり前のアイテムですが

当時は「小びん狩り」という言葉がある程

貴重なアイテムでした

(買うと50Gもするので敵から盗んで貯めていた)



わたしが彼と同じ中学生だった頃、

この行為が果たしてできただろうか。

彼と同じように、他人のための

「ありがとう」を、すぐに言えただろうか。



この時言えてないんだから言えるはずありません。

せいぜい辻ザオを受けたプレイヤーに

「よかったね!」と言うくらいでしょう



なんて優しい子だろうと思いました



そして年齢だけ大人の自分が恥ずかしくなった


これを自然にできる人間になりたい、と

てくっちを見習いました




それから数ヶ月が経ち、

お互い別のチームに入ったり、

レベルが上がってパッシブもそろってきたり、

お金を貯めて買った装備を自慢しあったり、

慣れない強ボスに行ってドキドキしたり...



一緒に遊ばない日も、

インしたらお互い挨拶したり、

勢い余って本名を教え合っちゃったり、

そんなフレンドでした









別れは突然でした









ある日いつものようにインして

いつものようにてくっちに挨拶しようと思い

フレンド欄を探しますが見当たらない



見逃すはずはないんです

フレンドだってまだ50人そこそこしかいません

見逃すはずはない





てくっちがいない





嫌な汗が流れました



すぐにてくっちの所属するチームのリーダー、

ぷりぷりからフレンドチャットが飛んできました



ぷりぷり人間

 てくっち知らない?



シロ

 わたしも知らないよ!

 でも、フレンド欄に居ないの



ぷりぷり人間

 うん、僕の方もいない

 チームからも抜けてるみたい



シロ

 そんな…



ぷりぷり人間

 今インしてないチーメンが

 何か知ってるかもしれないから、

 インしたら聞いてみるよ




次の日、ぷりぷりから連絡が来ました


てくっちは、その時インしていたチーメンに

「僕、ドラクエやめるね」と言って、

あっという間に姿を消したそうです




 そんな…

 こんなに急に引退するの?

 別に引退するのが悪いとは言わない

 でも、何か一言、

 またね、とか

 元気でね、とか

 言わせてくれないの?








それからかなりの月日が経ちました


わたしはブログを書きはじめ、

ランキングが上がったり下がったりしながら、


アストルティアもどんどん変わっていきました


レベル上限が何度か解放され、

ボスコインにガイアやバラモスが追加され、

ドルボードが実装され、

新しい武器や防具もたくさん増え、

まものつかいやどうぐつかいの新職業も追加され、

コロシアムやカジノが解放され、

レンダーシアに渡れるようになりました



てくっちと遊んでいた頃と比べると、

まるで別世界のようにいろいろなことが

出来るようになったアストルティア



できることなら、てくっちとも一緒に

この変わりゆくアストルティアを歩きたかった






そしてつい先日の土曜日


ぷりぷりから驚きのチャットが飛んできました




ぷりぷり人間

 てくっちとコロシアム行かない?





もう大興奮です



 てくっちが帰って来ている!

 またてくっちと会える!



すぐにコロシアムに向かいました






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ぷりぷり人間

 大変だ

 てくっちが脱走した



シロ

 はっ!?



ぷりぷり人間

 シロちゃんに怒られると思ったらしい




わたしが来ると聞いて

てくっちはコロシアムのどこかに

隠れてしまったそうです


とりあえず、ぷりぷりと

ぷりぷりのチーメン、シュウさんとPTを組み

3人でコロシアムを捜索




白チャで叫びまくりますが出て来ないてくっち


しかしぷりぷりが

フレンド欄からてくっちをPTに誘うと

あっさり参加しました






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とにかく3人でてくっちの元へ急ぎます




いた!!






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シロ

 てくっち!!!



てくっち

 ごめんなさい…





 てくっち…

 そんなに怖がらないでよ

 怒ってないよ

 ちょっと寂しかっただけだよ


 そんな事よりも、また会えて嬉しい




元気そうなてくっちを見て、

少しだけ、泣きました




てくっちはつい最近

ぷりぷりのチームに戻ったそうです

その事をぷりぷりがわたしに言わなかったのは

ぷりぷりのてくっちに対する

気遣いではないかと思います

余計な事は言わない。

ぷりぷりはそういう男性です



それから、てくっちとコロシアムでタイマンしました


てくっちはあの頃と名前は同じですが

新しく作り直したキャラクターです

パッシブもそろっていないようでしたので

ハンデとしてわたしは素手で戦いました




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結果すごい負け方したけど。






試合が終わって、てくっちに言いました




シロ

 おかえり




一言ですが…

その一言の中に沢山の想いを詰め込みました



 会いたかった


 元気にしてたか


 いつ戻って来たんだ


 今まで何してたんだこの野郎





てくっちは応えました



てくっち

 ただいま







てくっちとは年齢も離れているし


住んでいる場所も遠いし


もちろん顔を見た事もないけれど


わたし達は確かにあの時


友達になれた





一度途切れかけた「友達」





また、彼の姿を見る事ができる


また、彼の名前を呼ぶ事ができる


また、彼と冒険する事ができる


また、彼との「友達」が始まる




帰って来てくれてありがとう

またわたしの前に現れてくれてありがとう




大事な大事な


わたしの友達







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わたしはオンラインゲームは初めてで

他は詳しくはないのですが、

こういった年齢を越えて友達を作れる事は

対象年齢層が幅広いドラクエ10だからこそできる

大きな魅力の一つだと思います


リアルでは成人した大人が中学生と友達に、

なんてことはそうそう無いでしょう。



てくっちはもちろんのこと、

わたしはドラクエ10を通じて

沢山の素晴らしい方々と友達になれました



年齢はバラバラだし、

リアルではみんな仕事や学校や家事など

やる事は全く違うけれど

ドラクエの世界に入ってしまえば

皆同じ方向を向けます



何かを目指して一緒に協力することができる



電子の世界ではありますが

人と人とのコミュニケーションです


そこには確かに、人の血が通っていて、

相手の体温を感じとる事ができます



これからも素敵な出会いがあるでしょう

悲しい別れもあるでしょう



それらの全てを愛おしく思い

大切にしていきたいです




恥ずかし事いっぱい書きましたが

わたしはいつだってストレートに

気持ちを伝えたいタイプの人間なのです



言葉にしないと伝わらない事もある。

言葉にしても伝わらない事もある。

伝わってるとわかっていても、

言葉にしたい事もある。



我ながら暑苦しい人間であります



いつもと毛色の違う記事ではございますが

お付き合い頂きありがとうございます




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